5.歪む歯車

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「どういうこと?」 思わず聞き返す。 「最近…ちょっと大変な妖怪が出てきたようで。人間に悪さしては、迷惑をかけていると聞きました」 人間に化けてお金を盗んだり、畑の野菜を泥棒したり。 人間自体を襲う事は無いようだが、相当迷惑をかけているようだ。 「そう。そんなあやかしもいるのね」 今までずっとあやかしの肩ばかり持っていたけれど、そこまで迷惑をかけている者だったらどうだろう、と思う。 「はい。名前は何て言ってたでしょうか…確か“(ぬえ)”だったと思います」 「鵺…」 鵺、とは大妖怪である妖狐と並ぶ強さの妖怪…。 噂はかねがね聞いていた。けれど、最近は大人しくなったのか噂を全く聞かない。だから、久々に聞くその名前に少し驚いた。 「鵺か。噂がパタリと消えたんだから、もう死んじまったんじゃねぇのか?」 佑も同じ事を考えていたようで、鵺の消息がわからない事に同意している。
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