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「…佑!!」
映像を見終えた私は、思いもよらない最後を信じる事ができず、佑の着物の袖を掴んだ。
(佑は…紬に助けられたんだ。友秀さんに化けた何かに倒されながらも)
「…佑?」
何の反応もない佑を不思議に思い、顔をあげると、吹雪は唖然とした。
泣いていたからだ。静かに、音もたてずに。
あまりにも綺麗なその姿に、私は思わず見惚れてしまった。
「あいつが…鵺だ」
「鵺…」
最後に正体を見せたあいつだろう。蒼白い肌が、脳裏に焼き付いている。
「戻ろうか」
涙を流しながら私を見た佑は、にこりと笑った。
その姿は…スッキリしたようにも見えたし、後悔しているようにも見えた。
一瞬で大きな背中を見せた佑に、私は声をかける事が出来なかった。
そうして、私達の時巡りは終わったのである。
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