最終話.決戦と未来

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あれから数日経った。 だけど、佑はいつも通りだし、乙美やマリモは何も言わない。 正直、私はそれに助かっていた。 「行ってきます」 玄関を開け、外へと出る。 朝の涼しい風を全身に浴びながら学校へと向かった。 一つだけ、気になる事がある。 「すぐに、お前も殺してやるよ」 という、友秀に化けた鵺の言った台詞。 すぐに、と言いつつ何百年経っただろうか。鵺も死んではいない、というのは只の直感だ。 すぐにでも出てきそうな…。 「やぁ」 にゅっと道路の脇を歩いていた私の顔を覗きこんできたのは、若い男だった。 蒼白い肌に整った顔立ち。最近見たその姿に、私は声も出なかった。 「…で、出たあああああ!!」 あ、声は出た。 あまりのデジャヴさに、目をまんまると開かせる。 急に大声を出す私に驚いたのか、彼は私の口を大きな手で押さえた。 「お嬢さん、ちょぉっと黙っててくれるかな?」 浮き出る怒りマークと静かなその声に恐怖を感じ、コクコクと頷く。 (この人…この間見たばかりの…) “鵺!!” 「その様子だと、俺の事、知ってそうだな」 私の心を読み取ったかのように、笑いかけてきた。 返事する事の出来ない私を無視し、続ける。 「君さぁ、紬の生まれ変わりなんでしょ」 「!!」 ビクッと震えた肩を見て、確認したようだ。 「やっぱり…嘘じゃなかったんだぁ」 クスクスと笑う、鵺にフツフツと怒りが湧いてくる。
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