2.記憶の断片と小妖怪

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「ねね。今日、転校生来るらしいよ~」 「え?急だね。男子?女子?」 「それが超絶イケメンらしい」 きゃーっと叫ぶ女子達の会話でさえ可愛らしい。 まるで仏のような気分になった吹雪は、朝のホームルームまでは天国へと昇天していた。 「みんな、おはよう」 先生が入ってきて、健康観察をする。そして今日欠席者がいない事を確認すると、「今日、転校生が来るぞ」と言った。 当然ざわざわとなるクラス。 へえ、転校生が来るんだ。 ぼーっと窓の外を見ていると、先生が転入してきた生徒を呼んだらしい。 ぴんとした姿勢で歩いてきたその少年は、青い艶やかな髪、耳は無いがあのつり目。 あれ?どこかでみたこと、ある? 「狐塚(こづか) (たすく)です。よろしくお願いします」 と、私の顔を見てニヤリと笑ったのだ。 あの憎たらしい笑み。間違いなく、アイツだ。 「えええええええええ!?」
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