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一時待っていると、吹雪が「助けて!佑!」と叫んだのがハッキリと聞こえた。
ちゃーんと助け、呼べるんじゃねぇか。
「借りを作っちまったなァ」
俺は飛び上がり、白いモヤを切り裂いた。
それに吹雪が貼ったお札。俺には効かないが、コイツのような低級妖怪にはよく効くようで、悶えている。
それから、そいつがマリモだった事を知った。
良かった。マリモで。
俺は心の底からそう思った。
マリモが家に入れるように俺は少しマリモに妖力を与えた。ほんの少しだけ。
でも、マリモは元は結界のあやかし。
一切効かないらしく、思わず吹き出してしまった。
俺はふと、泣きそうになっていた吹雪の顔を思い出した。
やっぱり…紬に似ている。
そんな当たり前の事が頭に浮かぶ。
もし…お前が紬でも、紬じゃなくても。
吹雪を守るのが俺の運命なんだろうな。
本能的にそう思った。
番外編『佑の危険察知』 完
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