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ちょっと待って。
何でアイツがここにいるのよ!?
私は頭を抱えて、回転の遅い脳みそで考えた。
そういえば昨日、私を守るとかなんちゃら言ってたわよね。そんな小っ恥ずかしい言葉を平然と言える佑はある意味すごい。
“それなら良い考えがある”
と言っていた事を思い出した。
まさか、良い考えって。
学校にいても守られる方法って。
この学校の生徒になるっていう事?!
私はガタッと立ち上がり、恐怖じみた顔で佑を指さした。
「あ、あんた…」
でも、ここは教室。
クラスメートの視線が私に集まってしまったので、頬が熱くなるのを感じながら席についた。
「あれ?久遠、知り合いか?」
先生は、私と佑の顔を交互に見ながら問う。
やめて。ソイツと私の顔を交互に見ないで!
心の中では本当にそう思う。あんな美形と比べられたら堪ったもんじゃない。
「はい。まあ昔からの縁でこちらに引っ越してきたもので…」
明らかに営業スマイルをぶちかましている佑は、余裕の笑みでにこりと笑った。
ただ、それだけで前の方の席の女子が頬を赤く染め、悲鳴を上げた。
ぐぬぅ。許せぬ。
「そうか。じゃあ、久遠と近い方がいいよな」
「はい。出来れば」
この会話が聞こえたと思えば、佑が長い脚でスタスタ歩いてきた。
そして、隣であった男子が移動して佑の本来の席につく。佑は私の隣に堂々と腰掛けた。
「な。俺の作戦、成功だろ?」
ピースとしてきた指の爪はやはり短い。
私でさえただの人間にしか見えないのだ。他の人にバレることなんて早々ないだろう。
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