3.狐は分かってくれない!

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ちょっと待って。 何でアイツがここにいるのよ!? 私は頭を抱えて、回転の遅い脳みそで考えた。 そういえば昨日、私を守るとかなんちゃら言ってたわよね。そんな小っ恥ずかしい言葉を平然と言える佑はある意味すごい。 “それなら良い考えがある” と言っていた事を思い出した。 まさか、良い考えって。 学校にいても守られる方法って。 この学校の生徒になるっていう事?! 私はガタッと立ち上がり、恐怖じみた顔で佑を指さした。 「あ、あんた…」 でも、ここは教室。 クラスメートの視線が私に集まってしまったので、頬が熱くなるのを感じながら席についた。 「あれ?久遠、知り合いか?」 先生は、私と佑の顔を交互に見ながら問う。 やめて。ソイツと私の顔を交互に見ないで! 心の中では本当にそう思う。あんな美形と比べられたら堪ったもんじゃない。 「はい。まあ昔からの縁でこちらに引っ越してきたもので…」 明らかに営業スマイルをぶちかましている佑は、余裕の笑みでにこりと笑った。 ただ、それだけで前の方の席の女子が頬を赤く染め、悲鳴を上げた。 ぐぬぅ。許せぬ。 「そうか。じゃあ、久遠と近い方がいいよな」 「はい。出来れば」 この会話が聞こえたと思えば、佑が長い脚でスタスタ歩いてきた。 そして、隣であった男子が移動して佑の本来の席につく。佑は私の隣に堂々と腰掛けた。 「な。俺の作戦、成功だろ?」 ピースとしてきた指の爪はやはり短い。 私でさえただの人間にしか見えないのだ。他の人にバレることなんて早々ないだろう。
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