2.記憶の断片と小妖怪

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「佑!」 バッとベッドから起き上がった。 腕を正面に伸ばすという不思議な体制。まるで、誰かを呼び止めているような…。 「なんだよ。朝っぱらから」 そう言ったのは、耳をピコピコと動かしている青い狐。 私のベッドの横で、体を横にして大あくびをかましている。 そうだ。コイツ、私の部屋に勝手に住んでるんだった。 昨日の記憶が一気に戻ってくる。 私を紬の生まれ変わりか調べる為にここに住んでいるのよね。 吹雪は全てを思い出し、はあ、と大きなため息をついた。 「アンタねー。少しは考えなさいよ。一応、乙女の部屋なんだから…って、何よ?」 ベッドの上から佑を見下ろす吹雪。 文句を言っているはずなのだが、コイツは目を点にさせ、じっと私の顔を見ている。 そして、佑は私に向けて爪の長い指先を私に向けると、 「お前…なんで、泣いてるんだ?」 と言った。 「…え?」 その言葉に私もキョトン…。 両手をじっと見つめ、ゆっくりと目元に触れた。 「あ、れ?」 本当に、泣いている。 吹雪の瞳から出た一筋の涙は、頬を流れ落ちる。 私、何で泣いてるの? 「…怖い夢でも見たのか?」 私が一番状況がわかってないみたいで、落ち着いている様子の佑が私に声をかける。 怖い夢なんて見ていない。 じゃあ、なんで泣いているの…?
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