短編

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驚き顔を上げると、そこには口元には大きなマスクにサングラス……ニット帽をかぶった小太りな男が私をじっと見下ろしていた。 私は見知らぬ男の姿に状況を把握すると、ガタガタと体を震わせた。 なに……強盗……!? 馬乗りになった男は徐にマスクを外すと、床に寝そべった私を見てニヤリと笑みを浮かべる。 そのままゲスな笑い声をあげると、徐にスカートの中へ手を忍ばせてきた。 やだっ!怖い……怖い……どうしよう!!! 私は必死に男から逃げようともがくと、男はキラリと光るナイフを取り出し、私の瞳の前に突きつける。 鋭いナイフを目の当たりにすると、恐怖のあまり声を出すこともできず、体が氷のように固まった。 ヤダ、ヤダ、ヤダ、ヤダ……!!! 男はナイフを翳したまま舌を舐めずると、またスカートへと手を伸ばし始める。 露わになった太ももを、いやらしく触る男の手の感触にゾワゾワと全身に鳥肌がたった。 そんな中、ゆっくりと近づいてくる男からふと懐かしい香りが鼻を掠めると、フラッシュバックの様に、何かが脳裏を過る。 私……しってる……これ……前にも……。 「うそ……あなたは……」 口からこぼれ落ちた言葉に、今まで忘れていた記憶が鮮明に蘇ってきた。     
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