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買ってもらった3日後に「これじゃなかったなあ」と後悔した巨大なビーズクッションにもたれかかっていると、テーブルの上のスマートフォンが震えた。人をダメにするらしいおおきくもっちりしたかたまりは、うちの居間を堂々と占拠し、わたしの誕生日プレゼントだったはずなのに家族がかわるがわる使っている。同じ金額ならもっと、違うものにすればよかった。あーあ。
スマートフォンが2回、怒ったように震えるので腕を伸ばした。
隣のソファでテレビを観ていた兄が「みえない」と肩を押してくる。
「一瞬じゃんか」
そう言い返してキッチンへ行く。冷蔵庫から作りおきの麦茶を取り出してスマホの画面を確認すると、同じ部員でトランペットパートの琴葉からだった。
[海ちゃんやっぱ土曜日は行けないって]
[2年生も日曜の方がいいってパート練のとき言ってたし]
[日曜になりそう(´;ω;`)]
「まじかーー」
そうなると、一緒に買い物に行く相手は1人しかいない。竹内先輩だ。
[おっけー。ありがと。じゃあお互い、いいプレゼント見つけようね]
そう送ると、麦茶を一気に飲み干した。居間に戻ると、居間を占領するクッションを占領する兄がいた。
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