桜の下で笑おう

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ずっと好きだった彼に告白したけど玉砕した。 ほんとは知ってた、彼に好きな人がいるって。 でも私に優しくしてくれる彼に、もしかしたらって期待したのだ。 けれど結果は。 「ごめん。 萌依(めい)は可愛いとは思うけど、そういう目では見られない」 はい、私の恋はこうして見事に砕け散ったというわけだ。 「尚人(なおと)のばかやろー」 「はい? 俺を呼びましたか?」 誰もいないと思って河原で叫んだのに、突然話しかけられてびくっと大きく身体が揺れてしまう。 「えっと……」 おそるおそる振り返ると、首にタオルを巻いた、黒縁眼鏡のひょろひょろした男がきょとんとした顔で立っていた。
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