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プロローグ
「私、生まれ変わったら、麻衣(まい)ちゃんのようになりたいな。」
※ ※ ※ ※
「そ、そんなことって、あるんですか…!」
麻衣は、孝介(こうすけ)に呼び出されていた。そして、麻衣は孝介の口から、にわかには信じられない、事実を告げられた。
それは、「自分」とは何なのか、そして、人間とは何なのか、という問題を、つきつけられるような真実…。
そして、自分が自分である意味を、改めて問うような真実…。
麻衣は、その真実を目の当たりにし、ショックを抑えきれない。
そして…。
「今日は麻衣さんに、お願いがあってここに来ました。」
「ふざけないでください!私たちを、何だと思ってるんですか!」
孝介の発言に、麻衣は強く反発した。
「とにかく、私はあなたの言いなりになんてなりません!」
「そ、そんなつもりはありませんが…。
とにかく、1度よく考えてみてください。そして、麻衣さんの気持ちが固まったら、1週間後、またここに来てください。
いい返事、待ってますから。」
こうして、孝介はその場を後にした。
「孝介さん、約束通り、ここにもう1度来ました。
私、あれから色々考えました。
…そして、これが私の出した結論です。
…私は、孝介さんに、協力します。」
麻衣は、孝介にそう言った。
Side―A
第一章 出会い
「ああ、楽しい時間も、もう終わりか…。また、2人で旅行に行きたいね、健吾(けんご)!」
「そうだね、麻衣!」
2016年9月。この時期の日本は、まだ厳しい残暑の残る季節だ。麻衣と健吾は、そんな日本の気候とは異なる、ヨーロッパへの旅行から帰国し、空港に到着していた。高校までなら、(また世間一般のイメージから言えば、)9月からが新学期であるが、麻衣と健吾の通う大学では、8月から9月いっぱいまでが夏休みであるため、2人はこの休み期間を利用し、イギリスとフランスへ、旅行に行っていたのである。
「ところで、健吾は今回の旅行、どこが1番良かった?」
「そうだな…。やっぱ、パリのエッフェル塔とルーブル美術館、それに、凱旋門かな?」
「え~やっぱりフランス?私は、ロンドンのビッグベンや、大英博物館の方が良かったよ~。」
「そっか。麻衣はイギリスが大好きだもんね。でも僕は、フランスの方が好きだから…。」
「え、じゃあ、フランスと私、どっちが大事なの?」
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