第1章

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「そ、それは…もちろん麻衣だよ。」 「じゃあ健吾もイギリス派だよね?」 「え、いや、それは、その…。」 「冗談だよ冗談。ちょっと困った健吾、かわいかった!健吾がフランス好きなの、ちゃんと分かってますって!」 麻衣はそう言って、笑った。実は健吾は、(少しではあるが)人の話を鵜呑みにする所があり、麻衣は、そんな健吾をよくからかって、遊んでいた。 「ちょっと、僕、またからかわれた?」 健吾が少し落ち込みながらそう言うと、 「気にしないで、健吾。私、健吾のそういう所も含めて、好きだから。」 と、麻衣がすかさずフォローする。それを聞いて健吾は、 「僕、麻衣のちょっと小悪魔な所も、優しい所も、大好きだよ!」 と言う。  傍目から見ると、ただのノロケとも、イタイカップルともとれる2人であったが、2人は喧嘩も全くせず、仲良しであった。  2人の出会いは、大学1年生の時である。麻衣、健吾の2人は、大学に入学してすぐ、学内の文芸サークルに、入った。 「へえ~。河村(かわむら)くんって、フランス文学が好きなんですね!」 「そうなんです!鈴木(すずき)さんは、フランス文学は好きですか?」 「いえ、私はフランスは詳しくありません…。私は、イギリス文学が、大好きなんです!」 河村健吾、鈴木麻衣の2人は、たまたま文芸サークルの説明会で、隣の席に座ったのがきっかけで、話をするようになった。 「でも私、英語はそんなに得意じゃないんです…。イギリス文学や、イギリスの国の雰囲気は、好きなんですが…。  だから私、もっと勉強して、いつかは英文で、イギリス文学を読めるようになりたいんです!」 「そうですか。勉強熱心ですね。  僕は、英語はそこそこいけるんですが、フランス語はまださっぱりです…。僕も、いつかはフランス語で、フランス文学の作品を読めるようになりたいです!」 「えっ、英語…いけるんですか?羨ましいなあ…。それに、フランス語なんて、私には手の届かない世界です…。  でも、私も河村くんに、負けないようにしないとですね!」 「そっか。でも、いっぱい勉強したら、絶対に英語、上達すると思います!頑張ってくださいね!」 「ちょっと、今上から目線じゃなかったですか?」 「え、いや、決してそんなつもりは…。すみません。」 「冗談ですよ冗談。河村くんって、面白いですね!」
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