第1章

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『史香は見た目は、本当にお嬢様だけど、中身、全然違うよね。』 って、言われるんだ~。例えば、好きな音楽なんかも、もちろん、ずっとやってきたクラシックも好きだけど、メタルやヴィジュアル系のロックなんかも聴くよ。それに私、見た目はこんなだけど、そんなに女の子女の子してない、っていうか、ちょっと男の子っぽいところがあるのかな?よく、友達からそう言われる。  あと、しゃべり方も特徴的って言われるよ~。」 と、自分で発言している。(実際、史香は少し、語尾を伸ばす癖がある。)その見た目と、性格や話し方にはかなりのギャップがあり、それが優の心をキュンとさせた。  また、史香は、将来の夢ははっきりしており、 「私、将来は、音楽の教師になりたい!教師になって、生徒のみんなに、音楽の楽しさ、素晴らしさを伝えたいんだ。私のいる教育学部だって、そのために入ったんだからね。  教師になるためには、ピアノももっともっと練習しないとダメだし、もっと勉強しないといけない。大変なのは分かってるけど、それでも、頑張りたい。それが、私の将来の夢なんだ~。」 と、優や周りの人間に、伝えていた。  そして、優はそうやって史香と話をし、史香と接するうちに、自分の史香に対する気持ちが、「ほのかな恋心」から、「確かな恋」に変わっていくのを、感じた。自分は、単に見た目がかわいいから、また見た目と話し方などにギャップがあるから、史香さんのことが好きなわけではない。俺は、史香さんの「教師になる」という夢を、本気で応援したい。それに、史香さんには、人を和ませ、元気にさせる力がある―。俺は、史香さんのそういう所が好きなんだ!優は、この時、自分の史香に対する気持ちに、確信を抱いていた。  そして、史香の方も、そんな優に、徐々に好意を寄せるようになった。  史香は、こう見えてと言っては何だが、人を見る目があり、特に、自分に好意を寄せる人のことは、すぐに見抜ける体質であった。(それは、史香が今まで、その愛らしいルックスなどから、モテてきたこととも関係している。)実際、史香は大学に入った直後も、周りの人間からしょっちゅう声をかけられた。  例えば、同じ教育学部の学生からは、
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