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優は、卓也にこう答えた。
「そっか。まあ史香ちゃん、かわいいもんな。それに、かわいいだけじゃなくて、意外と、って言ったら失礼だけど、しっかりしてるし、芯も強そうだし…、傍から見てても、お前ら2人はお似合いのカップルだったよ。
まあ、優の中では、『だった。』じゃなくて、今でも『お似合いのカップルだ。』なんだろうけどな。ただ、連絡がとれないんじゃ、どうしようもないよな…。史香ちゃんが何に怒ってるのかも、分かんないしな。」
「それなんだよ。まあ、付き合ってる時、確かに忙しい時もあって、それで史香に連絡をあんまりとってない時もあったことは事実だよ。それで、そのことで怒ってるのかもしれない、とりあえず謝ろう、って思ったんだけど…。それでも、冷静に考えてみると、それだけのことで、連絡も全くとらないほど、怒るようなことではない、って思うんだよね。
それで、他に思い当たる節を考えてみたんだけど…、ないんだよ、別れる理由が。史香の気持ちが冷めちゃったのかな、とも思ったんだけど、きっちりしてる史香のことだから、それならそうと、はっきり言ってくれると思うんだよね。その辺が、謎、っていうか…。
やっぱり、俺が何かして、史香に完全に、嫌われたのかな?」
「その辺は俺には分かんないな…。わりぃな、ろくなアドバイスもできなくて。」
「そんなことないよ、卓也。俺の話、聴いてくれるだけでもありがたいよ。いつもありがとな。」
「おう。」
優はその日、たまたま大学で出会った卓也と、立ち話をして、その後自分の家へと戻った。
「あら、おかえり。今日は早かったわね。」
優の母親が、優が返ってくるなり、そう優に呼びかけた。優の実家は、小さな町工場で、父親はその町工場を経営している。しかし、最近はその町工場も、うまくいっていないらしい。
「これなら、俺にとって不幸のダブルパンチだ…。」
優は心の中で、そう思った。
「そういえば、史香ちゃん…だっけ?最近はうまくいっているの?何なら、前みたいに、家(うち)に連れてきても、大丈夫よ。」
優の母がそう言った。それを聞いて優は、説明するのは面倒だし、そういう気分でもないが、嘘をつくわけにもいかないと思い、史香と別れた経緯を、母に話した。
「あらまあ、そうなの…。ごめん何にも気づかずに、言っちゃって。
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