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その質問は、冷静な面もある美月らしい、質問であった。
「そうですね。その質問には、答えないといけませんね。
実は、僕たち、付き合っているんです。」
「えっ!?」
悠馬の返答は、美月を困惑させた。
「付き合って…いる?あなたと私が?」
「はい。さらに言えば、先に声をかけてきたのは、美月さんの方です。そして、告白も美月さんからでした。」
「…はあ。」
美月の頭の中は、完全に混乱していた。
『未来の私は、この、中谷悠馬さんに自分から声をかけ、告白もした。中谷さんは、確かに顔はかっこいいし、紳士的な感じもするけど、私のタイプとは少し違うような…。
でも、未来の私は、この人に惹かれたんだろうか?』
美月は、頭の中で思いを巡らせていた。
「まあそういうことなんで、これからよろしくお願いします。
あと、やっぱり僕って、魅力的なんですかね?」
「…はい?」
美月は悠馬の次の言葉を聞いた瞬間、またも耳を疑った。
「…魅力的かどうかは、分かりませんが…。」
「でも、やっぱり声をかけられる、ってことは、魅力的、ととってもいいですよね?どう思います?」
突然の悠馬の発言に、美月は苛立ちを隠せない。
「あの…、そういうことは、口に出して言うことではないと思います。」
「すみません、僕、自分に正直なものですから。」
「…は?」
美月は、呆れてものも言えなくなりそうだったが、悠馬に一言、言ってやることにした。
「あなた、確かに長身で、顔もいいかもしれませんが、そんなことばっかり言ってると、女の子に嫌われますよ。あなたみたいなナルシスト、私は興味ありません。
では、未来にでもどこにでも帰ってください。
さようなら。」
そして、美月はその場を立ち去ろうとした。
「ちょっと待ってください。僕は、あなたに用があって、はるばる未来から来たんです。」
「ああ、確かにさっき、『よろしくお願いします。』って、言われてましたね。
でも、私は、あなたなんかに用はありません。」
「まあそう言わずに。
…分かりました。では、こういうのはどうでしょう?
僕と、賭けをしませんか?」
突然の悠馬の提案は、美月をさらに困惑させた。
そして、この出会いが、「未来」の美月だけでなく、「現在」の美月にとっても、運命の出会いとなることを、美月はこの時、予想もしていなかった。
二 占いを、信じますか?
「賭け…ですか?」
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