第1章

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「はい、賭けです。」 「…ってか、さっきあなた、 『すぐに用は終わります。』 的なこと、言ってなかったですか?」 「それは美月さんが、僕の話に乗ってくれたらのことでした。  こうなったら、少し時間はかかりますよ。」 「ふざけないでください!」 こうした悠馬の物の言い方は、いちいち美月の癪に障るらしい。 「ちょっと失礼な言い方をしてしまいましたね。本当は、そんなに時間はとらないつもりです。  とりあえず、賭けの説明だけでも、聞いてもらえませんか?」 美月は、これ以上断っても、おそらく言うことを聞いてくれない、と判断し、とりあえず説明を聞くことにした。  「ありがとうございます。その、賭けの説明ですが…。  今から、簡単なゲームをして、もし僕がそのゲームに勝ったら、とりあえず1回は、僕に付き合ってください。…付き合うって言うのは、僕と2人でどこかに出かける、つまりデートする、という意味です。でも、もし僕が負けたら…、あなたの前から僕は、姿を消します。  こういうのは、どうでしょうか?」 そう言って悠馬は、賭けに使うと思われる道具をカバンから取り出し、カフェのテーブルの上に置いた。それは、スポンジ上の花びらと、中心部でできている、ひまわりの花を模したものであった。  「今は4月ですから、桜の時期かもしれませんが、これから夏になると、ひまわりの季節がやってきますよね~。」 「前置きはいいから、速くしてください。」 「おっ、引っかかりましたね。ということは、美月さんは賭けに参加する、ということでよろしいですね?」 「…そうは言ってません。とりあえず、説明を聞いてから考えます。」 「まあそう焦らずに。  では今から、賭けの内容を説明します。  ここに、17枚の、ひまわりの花びらがあります。今から順番に、この花びらから、1枚、2枚、もしくは3枚の中で、好きな数だけ、花びらをとっていきます。それで、最後の花びら、1枚をとるハメになったら負け、という、簡単なゲームです。あと、プレーヤーは必ず1枚、2枚、もしくは3枚、花びらをとらなければならず、パスはできません。  どうです、面白いでしょう?  あと、先にどちらからとり始めるかですが…、先手必勝ということで、僕が先攻、ということでよろしいでしょうか?」
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