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太陽が高い。
じりじりと焼けるような日差しはとても5月だとは思えない。
私、野島(のじま)ゆりはそんな暑さにもめげずに行程をもうダッシュで横切る。
「せんぱーい」
元焼却施設があったその場所は、
ぽつりと朽ちかけた丸太のベンチが置かれているだけだった。
ほとんだ誰も踏み入る事が無い。
そのベンチにごろりと横たわっている人は、
私の愛しい、葉山孝仁(はやまたかひと)先輩だ。
「またお前か……」
忌々しげに起き上がる。
「お前いい加減俺の睡眠邪魔するのやめろ」
「ああ、ここ日陰で風も通るから暑くないんですね。
校庭とか超暑かったですよ?
多分50度は越えてるんじゃないかな?」
「馬鹿か、50度もあったら人は生きられないだろうが?
火傷するわ」
「ええっ、本当ですってば」
「熱いふろでも45度だ」
「えっ?そうなんですかあ?
やっぱ凄いなあ先輩物知りですね?」
「あほか?
お前が馬鹿なだけだろ?
近くに寄るなあほがうつる。
それから俺の言った事無視してるんじゃない。
俺の睡眠邪魔しに来るのやめろってさっきから言ってんだろ?」
「ええ、そんなあ、だってここに来なきゃ先輩に会えないじゃないですか」
「俺は会いたくない」
「わああん、ひどいです~っ
せっかく伝説のローストビーフサンドゲットしたのに」
「何っ、それはホントか??」
「はいっ、2つゲットです」
「それを早く言え」
先輩は一寸横にずれて座るとトントンと隣を指で軽く叩いた。
「きゃあん」
私は嬉しくて飛び込むように隣に飛び込んで座ると、
先輩はチッと口を鳴らした。
「あほかそれをここに置けって意味だ」
「ええっ!?」
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