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再会
4月。私は高校二年生になった。もうすぐ今年度初めての授業が始まる。でも私は今日は高校には行かない。公園に向かって暖かい陽射しの降り注ぐ道を息を切らし駆けてゆく。公園の入口につくとその公園唯一の桜の木に歩み寄った。
「へぇ?イメージ変わったね」
桜の木の上から声が響く。
「そうでしょ?髪の毛は三つ編みをやめてショートにしたし、眼鏡もやめてコンタクトにしたんだ」
ルナがそういうと桜の木の上から女の子が飛び降りてきた。
「うん!今のルナもいい感じじゃん。もう息苦しくないでしょ」
そう言うとキリはうししと八重歯を見せながら悪戯っぽく微笑んだ。
「そうかもしれない。私も少しは変われたのかな?」
「変わるのはいいけどいきなり授業サボるとかあんたやりすぎ!」
桜の木の下でルナとキリは談笑する。家族以外の誰かとこんなに楽しく話したのは久しぶりだ。キリとルナはお互いのことを名前くらいしか知らない。それでも何度でもまた出会えるのだろう。この桜の木の下で。
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