春眠、暁を覚えず?

7/7
前へ
/7ページ
次へ
俺は荷物を片付け、辺りを見渡す。 この車両には既に俺達以外の乗客は居なかった。 ………ラッキー♪ 掛けていた眼鏡を外してそっと身を屈める。 「……う……ん?? ………えぇっ!?」 重ねた唇の感触に気付いたらしいひかりが目を覚ました。 至近距離の俺に、驚いているらしい。 「おはよ、居眠り姫」 俺は立ち上がって手を差しのべた。 「だーかーらー、『い』は余計だってばっ!」 軽く拗ねながらも差し出した手を取るひかりが可愛いくて、でも照れ臭くてまた眼鏡を掛けた。 ずっとこの手を離さずにいられます様に。 この寝顔を見るのが、俺だけであります様に。 ……そう、祈りながら。 [Fin.]
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加