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「おあ。ここは静かで、何も無い。。いやいや、昔はこの坂を上がったところに社があってな。珍しい紅い桜の大木があったんじゃよ。」
(…くれない?)
僕は驚いて、口をポカンと開けてしまった。
「君は、花には興味が無いかい?」
「あー。いえ!その桜の木、、紅の桜の木は?今はどうなってるんですか?」
「桜も社も大戦で焼けてしまって。。その後、なんたら保存ってやつで、新しい桜を植樹していたよ。そういえば、その時なんかの骨が掘りだされたみたいだったが。。あまり、話題にはならんかったな。何せ古いものだったようでね。桜の花は、もう昨日あたりからチラホラ咲いとるよ。」
…紅のさくら…
「あ、ありがとうございました!」
僕はそれを言うのがやっとで、次の瞬間からバタバタと走って坂を駆け上がった。。
…くれない…逢いたい…
…鬼。逢いたいよ…
…何度生まれ変わっても、私はあなたを見つけられるよ。
…ふ、ふ。つむじが二つで、くれないの髪はまるで鬼のようじゃ。
…なんじゃ、その牙のような歯は?やはり鬼のようじゃ。ふふ。くちづけは、噛まれそうじゃの。。
…父上。紅は、人を好きになったらいかんのですか?
…鬼なら鬼ならよかろう。
…約束じゃ、今の世で共になれないのならば、来世では共に。
紅皇。鬼となり私をこの紅桜の木下で。。骸は深く沈めて欲しい。
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