紅の桜と鬼の皇

1/1

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ

紅の桜と鬼の皇

僕はゆっくりと桜の木の下へ引き寄せられるように、近いづいていった。 甘いほのかな香りが、微かに風に乗って僕の鼻をくすぐった。 …ふふふ。 …べに。笑うな! …だって、くれないは直ぐ転ぶ。そんなんじゃ、先が思いやられる。 …士官試験はもうすぐじゃの。。うかるとよいのう。 薄い桜色の着物をつけた背の低い、子供のような女子は、紅と呼ばれていた。この杜の宮司の娘。神に仕えるために修行している、巫女だった。 くれないは紅皇と呼ばれる、下級武士の息子。 二人はこの桜の杜でよく遊んだ仲だった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加