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紅の桜と鬼の皇
僕はゆっくりと桜の木の下へ引き寄せられるように、近いづいていった。
甘いほのかな香りが、微かに風に乗って僕の鼻をくすぐった。
…ふふふ。
…べに。笑うな!
…だって、くれないは直ぐ転ぶ。そんなんじゃ、先が思いやられる。
…士官試験はもうすぐじゃの。。うかるとよいのう。
薄い桜色の着物をつけた背の低い、子供のような女子は、紅と呼ばれていた。この杜の宮司の娘。神に仕えるために修行している、巫女だった。
くれないは紅皇と呼ばれる、下級武士の息子。
二人はこの桜の杜でよく遊んだ仲だった。
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