12.いざ初戦 甲賀者、参る

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 両手で顔を覆いながら犬走がベンチ裏へと運ばれていく。すまねえ、みんな。そんな言葉を残して。  一塁ベース付近で、去り行く犬走の姿を皆で見つめていた。 「すまねえ……じゃないよ。犬走くんの執念で繋いでくれたんだ」  蛇沼が唇を噛み締めながらそう言った。無言でみんなが頷く。  甲賀忍者は任務のため、自分の死を厭わない。皆にその血が流れている。あとは残された者がその犠牲を胸に秘め、任務を確実に遂行すしていく。それが、甲賀の掟だ。  犬走の分、必ず逆転する。その任務を今、遂行する。皆、そういった目をしている。 「白烏っ、代走だ」 「おうよ」 「犬走の分、ホーム、踏んでくれ。頼む」 「無論」  白烏の目も鋭さと集中力に溢れている。  副島は込み上げるものを感じていた。半ば強引に野球部に入れたと思っている。こいつら忍者たちは、それにここまで賭してくれるというのか。
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