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甲賀一の刀使いである桐葉家では、三種の斬撃が代々子孫へ伝承されている。
瞬時、かつ威力に優れる「水月刀」
まだ刀貴が会得していない奥義「竜突」
それに、月掛などの飛翔を得意とする忍者や、天井裏からの襲撃に対応する「舞葉斬」
この三種である。
ボーーーール。
3ボールノーストライク。
完全な敬遠策だ。
道河原が気合いを入れて、ネクストバッターズサークルで立ち上がった。副島がその道河原を呼び寄せようと声を出そうとした時、桐葉がまた、大きく副島に向かって手を広げた。
大きく首を振り、やめろと合図している。
副島はその合図を信じ、立ち上がった腰をまたベンチに降ろした。
「……あいつ、何するつもりだ」
ふうぅぅぅ。
桐葉は大きく息を吐き、居合の構えを解いた。バットを片手でぶらりと力なく持ち、棒立ちしている。
遠江姉妹社のバッテリーだけでなく、この球場の誰もが、敬遠策で構える必要がないと判断したのだと思った。
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