13.エースと四番

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 迎えた準々決勝。  既に滋賀県の高校野球ファンの間では、甲賀高校野球部が話題になり始めていた。  だが、さすがに準々決勝。相手は文武両道を掲げる公立の雄、東彦根が上がってきた。甲子園でもベスト8に入った経験があり、圧倒的な力を誇る大阪の大阪桐心高校をあと一歩まで追い詰めた実績も持つ。頭脳野球ゆえ、伊香保よりも分析力に富む。苦戦は免れないと誰もが予想した。  打線では、ここまで毎試合ヒットを放っていた藤田と桐葉をマークされ、三回戦で活躍した蛇沼と桔梗に緩い変化球は一切投げてこない。  そこに藤田の疲労がついに押し寄せてきた。三回まで投げて、食い止めてはいるものの3失点。仕方なく、未完成の白烏を登板させる。  白烏のコントロールは徐々に改善されてきているものの、その後四回を投げ、たったヒットを1本しか打たれていないのに、また四死球がたたって5失点してしまう。  七回表を終えて、8-2。  万事休す。  かと思われたが、ここで活躍したのはキャプテン副島と滝音だった。
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