14.強豪 滋賀学院 霧隠才雲、現る

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 気のせいか、一人一人やけに大きく見える。当然身体の大きさ自体もあるだろうが、そこにはもうひとつ、甲賀には無い確固たる自信があった。今年こそ甲子園へ。遠江とあたるまで負ける訳がないという自信が、滋賀学院ナインの身体を一回り大きく見せていた。 「ええ顔つきしとんの。相手にとって不足なしじゃ」  道河原がにんっと笑って、皆が各々のグローブを取ろうとベンチに入った時だった。  副島と藤田を除く全員が咄嗟に三塁側へ振り返った。  殺気……いや、違う。甲賀者たちは鋭い忍の気を悟った。  力を内に秘めると、普通の人間にはその人の秘められた力は分からない。だが、忍には分かる。大きな力を内に秘めるには、より絶大な力が必要となる。内に閉じ込められる力とそれを抑える力、その相反する大きな力が拮抗するところに見えない気が満ちる。それが忍にしか分からない忍の気だ。  背番号18をつけた選手がグラウンドに深く一礼をし、ほんの一瞬だけ一塁側ベンチへ目を向けた。その一瞬で背番号18は一塁側めがけて殺気を放った。その気は目に見えぬ稲妻と化し、一塁側を襲った。 「うっわ、何やこれ! メガホン壊れたぁ!」  甲賀ベンチの上からそんな応援団の声が響いた。   「伊香保……一人とんでもないやつがいるぞ」  白烏が呟くと、伊香保は首を傾げていた。
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