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対する滋賀学院のスターティングメンバーに背番号18の名前は無かった。
「あの18番が入ってない」
全員でメンバー表を覗き込む。
「気のせい……なんじゃない? そんなにすごいなら今まで出てないのもおかしいわ。何のデータもない選手よ」
「……いや、間違いない」
そう犬走がメンバー表を睨みながら呟いた。
「霧隠なんて、そうそういる名字じゃない。伊賀の霧隠なら、こんなところで出会えると思ってなかった。俺は、犬走家は、霧隠を越えなければいけないんだ」
伊香保だって、霧隠と言えば忍者ではないかと思い浮かべる。忍者に限らず一般人でも、霧隠才蔵の名は中学生くらいになれば誰でも聞いたことがあるだろう。
もし、その子孫ならば何故今まで出てないのか。ここにいる甲賀忍者たちも野球経験はなくとも圧倒的な力を見せている。そんなに実力は無いのか、温存なのか。いくら打倒遠江とはいえ、決勝でぶっつけ本番などあるだろうか。
伊香保はそこを訝っていた。
その答えは2時間後に判明することとなる。
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