14.強豪 滋賀学院 霧隠才雲、現る

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 ストライーーーーク!!!  激しい音を立てて、滝音のミットが揺れる。滋賀学院の一番打者は手が出ない。 「才雲、どうや?」  ぽつりと川野辺がネクストの霧隠に寄って話しかけた。 「対峙してみないと分からん。ただ……」 「ただ?」 「良い投手だ。簡単にはいかない。それに……」  一言一言を霧隠は考えこむように話す。 「それに……何だ?」 「俺が野球部に入ったのは、遠江の大野を打倒するため……。だが、俺には大野より甲賀のこのピッチャーの方が上に思えてならない」 「……そやな。俺もそう思う。才雲、やからお前はここで出ると決めたんやろ?」 「ああ」  また大きなグローブの音が鳴り、一番打者は三振に倒れていた。俯きながらベンチへ戻ろうとしている。 「才雲、この回で逆転して楽にしよう」 「……ああ、行ってくる」  霧隠が打席へ向かう。灼熱の太陽を弾き飛ばすようなオーラが纏われている。
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