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打席には甲賀高校三番、桐葉刀貴。
マウンドにはこの日２回目のマウンドとなる川原真吾。
この日の二人の対決は、二度の対戦でどちらも川原が桐葉を抑えている。二打席連続三振だ。だが、川原はこの二打席で温存していたサイドスローも含め、桐葉に全てをさらけ出している。
「川原、この三番は一度見たボールは今まで必ず打ってきている。簡単にいくとやられるぞ」
キャッチャーが目線でそう合図した。
「分かってる。それは才雲だったとて同じ。監督が俺をこの三番退治に選んだのには意味がある。しっかり受けてくれ」
結果論なら誰でも言える。もし、川原が打たれれば、おそらく監督は才雲を代えたことを非難されるだろう。では、才雲ならば確実に抑えられるかと問われると、それもノーだ。一度見たボール同士ならば、川原に分がある。監督はそう踏んでいた。川原には磨かれた投球術があるからだ。
サイドスローか。桐葉は初球に反応を見せたがバットを止めた。すっと外に逃げていくスライダー。僅かにタイミングが合わなかった。ボール球だったが、無理に打つと凡打になるところだった。
二球目は一転して美しいフォームからのインローをついたストレート。今度は全く手が出ない。
ストライィィク！
間を合わせにくい。こちらもやはり素晴らしいピッチャーだ。
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