15.薄幸の伊賀者 魂の滋賀学院

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 両チームがお互いの応援席前に整列し、挨拶をした。  滋賀学院側では、いつまでも鳴り止まない拍手の中、グラウンドに突っ伏す選手たちの姿があった。  甲賀側はお祭り騒ぎだった。全員の名前が怒号のように連呼される中、副島の合図で深く感謝の礼をした。余韻に浸るようにゆっくりと甲賀ナインがベンチに戻っていく。  副島は一際大きな身体の四番と、まだ熱気に包まれたエースの背中を叩いた。 「お前らが昨日の夜中に練習してへんだら、この試合負けてたわ」  同時に振り返った道河原と白烏が、これまた二人同時に副島へ応えた。 「見てたんかよ」 「見てたんかよ」  副島が笑う。 「当たり前やろ、キャプテンやぞ」 「へっ、どうせ忘れ物して取りに帰ってきたとかだろ?」  道河原が鼻で笑って、三人笑いながらベンチへ入っていく。  この準決勝、これまで活躍を見せなかった白烏と道河原の大活躍が光った。これで、甲賀高校の野球部は一つのチームとして完成した。  激闘を労うように、ぎらつく太陽を薄い雲が隠した。雲から漏れた太陽光が地上にきらきらと優しく降り注いでいた。  甲賀4-3滋賀学院  甲賀高校、決勝進出。  
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