16.決勝 遠江戦 甲賀者極まる

1/95
前へ
/531ページ
次へ

16.決勝 遠江戦 甲賀者極まる

『大野選手、ついに決勝まできましたね。今の心境はどうでしょうか?』  皇子山球場のベンチ裏通路に何人かの記者が集っていた。 「どうですか言われても……。次、勝って甲子園に行くだけっすけど」  淡々と、大野はそう応えた。 『滋賀学院の川野辺くん、西川くんは大野くんと対戦したかったと涙を流していたよ』  大野は露骨に嫌な顔をした。 「別に……。あいつら負けたんでしょ? それまでのことやないすか。何か俺と関係あります? てか、もう……いいっすか?」  大野は記者に礼もせず、通路を後にした。記者は開いていたメモ帳を閉じ、独り言を呟いた。 「……大野くん、君は明日、大きな試練を迎えることになるぞ」
/531ページ

最初のコメントを投稿しよう!

280人が本棚に入れています
本棚に追加