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彼女が眠りについてから何度季節が回ったのか分からない、数えるのを放棄してしまうほどとてつもなく長い時間を彼はひとりで過ごしてきた。
「春になれば目を覚ます。ただその春はいつなのかは分からない。次の春か、それとも何百年も先の春かもしれない。それでも待っていてくれるならその時は私は貴方を愛するわ。」
そういって彼女は長い眠りについた。彼はただあの子にもう一度会いたかっただけなんだ。もう一度僕にあの屈託のない笑顔をみて笑いあいたかった。ただそれだけのこと。
そんな小さな幸せを感じるのにどうしてこれほど長い時間を要するのだろう。
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