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もしも、世界に神さまというものがいるのならなんて理不尽な神さまなのだろうか。なぜ彼女と僕だけにこんな酷いしうちを受けさせるのだろうか?と彼は何度思ったことだろう。そして何度も何度も考えては忘れ、考えては忘れを繰り返していた。
彼は前に、彼女から聞いたことをまた思い出していた。前世で恋人同士だった者は現世では兄弟に生まれ変わると。愛し合っていたからこそ、また形を変えて巡り会えるのって素敵なことだと思わない?
と微笑むあの子はまるで天使のようで、僕はただそうだねと答えて笑う。でも、僕は生まれ変わっても君と恋人として出会いたいよと伝えるとあの子は目をぱちくりさせて恥ずかしそうに笑って、小さな声ででもハッキリと言った。
私も、出会いたいわ。今度こそ幸せな形で。
その時に彼女が言った本当の理由を知る由もない彼は、ただ首を傾げて考えるフリをしただけだった。
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