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説得力を感じると、話を聞く姿勢が変わる。
「改革にはリスクがつきものです。同じ考えの人間ばかりでは検証不足になるので、改革を進める上でまったく別の視点を持つ人間が必要です。単なる力押しで会社は運営できません。少数の顧客とニーズを充足させるだけのビジネスではない限り」
「なるほど、神長氏が言いたいことはわかったぜ。俺は社内における野党的存在ってことかい」
「最終的に選ばれる案はひとつしかなくても、提案の全てがまるっきり無視されているというわけではないでしょう。周りは、橋爪さんの大切さをわかっていますよ」
「どうだかな」
橋爪は首を鳴らしてため息を落とした。自分に対しての扱いにも、与えられているポジションにも不満があるわけではない。けれども、釈然としない気持ちもある。
「上層部が橋爪さんのポジションを重要だと考えていても、それが本人に伝わっていないのは問題ですね。どこの会社でもそうですが、勤続年数の長い社員に対して、立場や金銭で仕事を評価して、言葉では直接評価しない点はよくありませんね。フォローが丁寧なのはせいぜい三年目まででしょう?」
「そりゃまあ、同じ会社で同じ部署にいりゃそうなるわな」
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