苦手な近所のお兄ちゃんに、目ぇつけられました(泣)

2/20
156人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
 授業時間が長かったり、新しい教科にはまだ慣れないけど、仲のいい友達も出来たし、クラスの雰囲気にもようやく馴染んできた。  ーーそんな平穏は、中学の入学式からたった3週間で終わりを告げた。  それが掻き乱されるきっかけとなったのは、生真面目な担任の浅井先生の帰りの会での言葉だった。  「入部は決して強制ではないが、特に家庭に事情がない限り全員部活に所属することを勧めている。あと1週間で仮入部期間が終了するから、まだ決めてない人は興味のある部活を回って、今月末までに入部届を提出するように。では、今日はこれで終わり!」  それを聞いて、ズーンと落ち込む。  強制じゃないとか言いつつ、強制じゃん。『部活入りません』なんて言ったら呼び出し受けて、家庭の事情とか聞かれるパターンでしょ。あーあ、どっか入らないわけにはいかないよねー。  チャイムが鳴り、みんなが一斉にガタガタと机を鳴らして立ち上がるけど、私はひとり机の上にダラーンと寝そべった。前に座ってる萌ちゃんが、ふたつに分けた三つ編みを揺らして、振り向く。  「そんな格好してると、せっかくの美人顔が台無しだよ」  「別にいいもーん」   勝手に『残念美人』とか『黙ってたら可愛いのに』とか言われてるのは知ってるけど、だから何? 私は私だもん、変えられないよ。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!