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なんの確証もなく、
そこに向かう。
ほとんど無意識に。
遭難して彷徨い歩いて
漸く民家を見つけた時の様に
その明かりが目に入って
こんな時なのに何となくホッとする。
もしかしたら、眠れなくて、
何か飲み物が飲みたくなって
思わず買いに来てしまったのかもしれない。
明日の仕事に必要なものを
急に思い出しただけかも。
少しだけ溜飲が下がってくると
慌てて追いかけてしまった自分が
急に恥ずかしく思えてきた。
…………帰ろうかな。
追いかけてしまったことを
知られたくない気がした。
踵を返して戻ろうとした、まさにその時
「………もしもし?」
すぐ側から聞こえてきたその声に
体中の全ての機能が停止した気がした。
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