壊れた心

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固まったまま動けない。 植木の影になって姿は見えない。 きっとコンビニの、駐車場の横にある 花壇の縁に腰を掛けて……… 「……ごめんね、こんなに夜遅くなって」 相手を気遣う、柔らかな貴方の声 「……そうだけど………どうしても声を聞いておきたくて……」 知らない。 そんな声 私は知らない。 知らない。 「………千佳?………」 ビクッ 心臓が、嫌な音を立てた。 苦しい 息が出来ない 息の吸い方ってどうするんだっけ? 「息を吐く方が実は大事なんですよ……」 何故かこんな時に、 小児喘息だった頃 主治医の先生が言った言葉が浮かんできた。 「落ち着いて。そうすれば大丈夫。」 「人間、そう簡単に死んだりはしないから。」 ゆっくりと息を吐く。目を閉じる。 「………大丈夫?」 貴方の心配する人は 私ではない。 聞きたくない 聞きたくないっ 早くここから逃げなきゃ!! 体が動いて、足を1歩踏み出した。 気が付いたら、 私はベットの中で震えていた。
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