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「………千佳?………」
さっきの貴方の声が、耳から離れない。
今は、今だけは
貴方の顔をまともに見ることは出来ない。
眠るんだ、とにかく、一秒でも早く。
早く。
「ガチャッ」
貴方が戻ったのは、それから30分後くらいだった。
ベットの軋む音とシーツの擦れる音、
自分の体が、少しだけ沈みこむのが分った。
枕元のナイトテーブルに何かを置いた気配。
「ピロリン」
充電を開始する電子音が静かに響いた。
貴方に背を向ける様にして眠る。
何を話していたの?
涙が頬を伝う。
そんなに長く………。
嗚咽をもらしてはいけない。
貴方が布団をかぶって横になる気配。
気付かれては駄目だ。
長いため息をもらす貴方。
気付いては、駄目なんだ。
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