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「俺が……負けた…?」  手に持っていたコントローラーが、ガシャンと床に落ちた。  うそだろ?  こんなガキ相手に?  開いた口が塞がらないとは、まさにこのことか。  隣で両手を挙げ喜んでいる男の子は、大きくガッツポーズをし、俺に満面のドヤ顔を見せてきた。 「由詩(ゆうた)お兄ちゃんに勝ったぁぁあ!」  俺の名前を呼びながら呼びあがるのは、『矢馬田(やまだ)まどか』だ。小学6年生のプレイなんて、知識もなければ、テクニックも未熟。  どう考えたって、高校2年生の俺が負けるわけない。……と思っていたのに。今ほどまで激しい戦いを繰り広げていたテレビ画面には『continue?』の文字が表示されている。 「まどか……お前、ズルしてないだろうな?」 「してないし! 由詩お兄ちゃんに勝ちたくて、すっごい練習したんだから!」  まどかは、ほっぺを膨らませてコントローラーの一時停止ボタンを押す。そして俺の落としたコントローラーと共に、テーブルの上に置き、隠しきれない嬉しさを放ちながら俺の目を見る。 「勝ったら、なんでも言うこと聞いてくれる約束だよっ」 「わ、わかってるよ……」  まどかはソファーの上をススっと移動して、俺の真横にピッタリくっつく。  そして俺の首に腕を回してぎゅっと抱きついてきた。  勢いに負けて、腰が落ちる。  ソファーのひじ掛けに、斜めに寄りかかった状態で、まどかは顔の距離をさらに近づけてきた。  身長差、約20センチ。  まだまだ幼い顔立ちのまどかは、その小さな唇を……  ちゅ  と、俺の頬にくっつけてきた。 「じゃ、由詩お兄ちゃん。さっそくだけど、脱いで?」
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