6限目

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*  それから数日後。  あの大騒ぎの元凶、痴漢野郎は無事捕まったらしかった。  警察による囮捜査を行なった結果、まんまと姿を現したそうだ。 「はー、これで痴漢騒ぎは一件落着だな!」 「……ああ、そうだな」 「ほのかちゃんとまどか君を守りきった淀橋を褒めて讃えよう」 「さりげなく名前呼びしてんじゃねーよ」  そして、野嶋とほのかは、以前よりも距離を確実に縮めていた。  ほのかは野嶋を『篤史くん』と呼び、 野嶋はほのかを『ほのかちゃん』と呼ぶ。  まあ、ふたりが仲良くするのは、別にいいんだけど。 「で、痴漢野郎ってどんなやつだった?」 「えー……なんか細身で、身長高くて……髪の毛はボサっとしてて……浮浪者みたいなやつ」 「こっえー。よくまどか君が泣かなかったな……」  ほんとだよ。むしろこっちが泣きたかったわ。  なんて、絶対野嶋には言えないけど。 「あ、あと、口髭が気持ち悪かった」 「あー口髭な。昔さー親父が口髭生えてて、ジョリジョリーってされるのすっげぇ嫌だったな」  「あーわかるわかる」と相槌を打ちながら、俺はふと考えた。  口髭……ジョリジョリ感……?  首元を噛まれたあの時、そんなもの感じただろうか。  数日でそんなに伸びるとは考えにくい。  とすると……  俺は、誰に襲われた?
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