恒星

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定められた位置に置かれた夜、部屋の外は全て吸収されていた。電球は暗く消され、窓からは鹿の格好をした何かの明かりだけが差し込んでいた。この日、月は眼球と唇に最も近づき、地球上の全ての生物と物体、あらゆる鹿、性器、粉々になった枝に、全ての意識を吐き出し続けていた。  ある街の牢獄のような一室。膝立ちの二人の男は透明なビニール袋に入った。部屋に突然入って来た河馬が木刀で二人の頭をめった打ちにすると、頭?冷凍麺がぐちゃぐちゃに崩れた。その後、大量の水がその川に流れ込んだ。はじまりにしては誰のせいにも出来ない情熱のようなものが流れの中に紛れ込んでいた。昨日の晴天は遠くに過ぎ去ってしまった。構成される光の粒はもう見ることが出来ない。かつて形を保っていたものはばらばらの秩序を与えられて巨大な振動に変わった。死んだ人間の冷たさは感覚を超越していた。もうそこに触れるべきものは何も残されていなかった。不在という不在が精神的な砦の外壁を取り壊していく。それは諦めと悲しみの浸食だった。突如としてある情景の記憶が思い出される。明確な理由は分からないが、それがある種の類似を示しているのは理解出来た。
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