知らない人形・Another

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部屋に帰ると、知らない人形が置いてあった。 気持ちが悪いので、外に捨てようと窓を開ける。 捨てる為に振り上げた手を、ふと止めた。 この人形は、普通の人形では無い様な気がした。 この人形には、心があるのだろうか。 寂しくて、誰かに気付いて欲しくて、色んな人の元を転々としてきたのだろうか。 そしてその度に…捨てられてきたのだろうか。 この人形が、今ここにあるという事。 それはつまり、この人形を必要としてくれる人が、これまで誰一人としていなかったという事だろうか。 そう、まるで僕の様にーーー 僕を必要としてくれる誰かを、僕は必要としている。 この人形も、自分を必要としてくれる誰かを、必要としているのだろうか。 それなら、この人形はーーー ”僕と同じ”だ。 僕は部屋に人形を置いた。 おかえりーーーそして、ただいま。
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