一章

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1年くらい前、普段全く本を読まない私は友達と一緒にたまたま学校の図書室に来ていた。 「ねぇ、何の本借りたいんだっけ?」 本の虫の早苗(さなえ)は読みたい本を吟味しながらおざなりに答える。 「えっとねー『雪国』と『ロリータ』と……」 「何『ロリータ』て。借りにくいわ作者誰よ」 私は悪態をつきながら川端の名前を探す。 「あった」 本棚の一番上にある『雪国』に私は手を伸ばす。精一杯の背伸びをして、何とか手を伸ばし、古びた本の背に触れる。
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