一章

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「和華ー? 本あったー?」 早苗がひょっこりと顔を出す。そして石化した私を見て首を傾げる。 「どうしたの?」 「あ、いや、この人に本を取ってもらったの」 声が上擦る私を一瞥して、早苗は彼にお礼を言う。 「そうなんだ、ありがとうございます」 「その本は、君が読むの?」 彼は本を指差し私に問い掛ける。「ロリータ」じゃなくて良かった。どちらにせよ、こんな高尚な本は私の頭がびっくりする。 「い、いえ、これはこの子が……!」 私は震える指で早苗を指す。早苗は「そうです彼女、本読まないですから」といらん事を言う。 「ねー? 太宰」
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