プロローグ

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プロローグ

現在私は、都市から遠く離れた雪山に一人…いや、一匹取り残されています。 決して間違えて”一匹”を”一人”と言い間違えたのではない。私にはちゃんと身体を支える為の”四本の脚”が確かに存在して居る。 それに、四本の脚には靴なんて履いていない為霜焼けの様にヒリヒリと痛みが感じられる。痛みが感じられる時点でこれは、夢では無く現実なのだ。 そして私の居るこの雪山には、多くの魔獣が住んでいる。何匹か岩陰でチラッと見えたのだから間違いはない。都市から見える三つある山の一つに私は取り残された。 私は本来なら救助を求めるべく、大声で助けを呼んだり地面に3文字のアルファベットを書いてみたりする筈だが、そんな事は今の私には出来ない。 近くの氷に顔を映すと私の口は大きく開いており2本の大きな牙があり、耳は2つ頭に三角の形で立っている。そして4本の脚に、大きなふわふわとした尻尾。極め付けには全身白色の毛で覆われている。手足は大きな身体を支えるのに重要な為地面に何かを書こうなんて事をしたらバランスが崩れて倒れてしまう。 今現在何時なのか?私にはさっぱり分からないが、この”姿”になって大分経っただろうと手足の痛みと身体の寒気が強くなった事で感じられる。 元は”人間”だった私が何故”今の姿”になってしまったのか全ては今から2時間前くらいに遡るだろう。
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