after all

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「結婚しよ」 「しません」 何度、このやりとりを見たのだろう ソファに並んで座り、パソコンに向かってる美人なカレの肩に頭を乗せ、釣り雑誌を読みながら結婚を申し込んでる彼 たぶん、あまり気の進まない仕事を彼が頼まれたのだろう お願いしますよ なんて後輩辺りに縋るように頼まれたのかもしれない そうお願いされると、彼は引き受けてしまう そして毎回のごとく、引き受けてからカレに結婚を申し込む その度に、カレに断られてるのに懲りないやつだ まぁ、そんなやりとりをしてるのだけど 「引き受けなきゃいいでしょ」 「だってさぁ、すげー頼むんだもん」 「そうやってね、ほいほい引き受けるから相手も頼むんでしょ」 「そんなこと言ってるけどさ、あんたもほいほい引き受けるじゃん」 「オレは、出来ると思うものだけです」 「うっそぉ。俺、断ってるとこ見たこと無いよ」 確かに、カレは頼まれた仕事を断っているとこを俺も見たことはない むしろ、忙しくなればなるほど嬉しそうだ 「オレは出来る男なんです」 「確かにそうだな」 「でしょ」 カレはにやりと彼を見れば、彼もまたにやりと笑って彼を見た そして、また同じような体制でカレはパソコンを見て、彼は雑誌に目を向ける 恒例のやりとりが終わったのかと思ったが、今回はそうではないらしい 彼は雑誌を読みながら 「あのさ」 「なんですか?」 「やっぱり、結婚しようよ」 カレはその言葉に驚いて、彼の方を見る 彼は見ていた雑誌の写真を見せて 「あんたと釣りがしたいから」 そう言えば、カレは俺から見ても綺麗な笑顔で 「そういうことなら、考えておきます」 結局はそうなるんだよ 俺はゲームをしていた手を止めて 「結婚式には俺も呼んでくださいよ」 笑顔で言えば、2人はにこりと笑って 「もちろん」 「ちゃんと、ご祝儀持ってこいよ」 「はいはい。でも期待しないでくださいね」 ふふふと笑い合い カレはパソコンに向かい 彼は雑誌を読み始め 俺はゲームを再開した
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