微熱花火

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「だから、彼女のフリなんかやめて、本当の彼女になって欲しいんだけど」 びっくりしすぎて言葉が出ない。 「さっきのはごめん、意地悪だった。 だって簡単に受け入れるのかよって思ったらちょっとショックだったし。 結局、榎本もオレの上っ面しか見てなかったのかなと思って」 「そんなことはありません!!」 先輩にショックを与えたなんて自分が信じられない。 「先輩が私だけに見せてくれる顔はすっごく嬉しくて、知らなかった先輩をどんどん見ることができるって幸せで!!」 「うん」 ついさっきは沈んだ声をしていた気がしたのに、 もう先輩の細めた瞳が三日月のように弧を描いている。 「でも、あくまで仮彼女だし期待しちゃダメって自分に言い聞かせてて……。どんどん惹かれてくのが怖いくらいでっ!!」 「うん。 じゃあ、返事は?」 先輩は柔らかく微笑んでいながらも、少しだけ挑発的な視線を投げてくる。 ーーーー返事なんて、そんなの。 ひとつに決まってる。
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