微熱花火

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先輩の瞳をまっすぐ見据えて、伝えた。 「本当の彼女に、なりたいです」 花火が鳴り響く中、意を決して告白をする。 チカチカと色が変わる空と同様、私の胸はめまぐるしく動いていた。 本当の気持ちを言えたことの達成感と照れ臭さ。 そして先輩が私を見つめるその眼差しに 急激に体温が上昇していく。 ーーーーダメだ、先輩かっこよすぎる。 私にはキラキラと今まで以上に輝いて見えてしまって、これは完全に、アレだ。 「参りました」 先輩に。 そんな一言もうっかり漏らすと、プハ、と吹き出される。 「参りましたって何だよ」 「……先輩に、ですよ」 正直に答えると、先輩は瞬きを繰り返してから 嬉しそうに笑った。
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