190人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ
電話を切ってから調べると、担当の現場監督は木村だった。木村の顔が頭を過り「あいつめ……」と声が出た。
木村の携帯番号を調べて電話を入れる。
『ほーい、木村だ。みっちゃん、ナニ?』
とぼけた声が聞こえると腹が立った。
「近隣の方からクレームです」
冷たく話すと、『相変わらずクールだなぁ』と笑い声が聞こえる。
まともには相手にはできない雰囲気なので、クレームの内容を一方的に告げた。
『あいつら、嫌がらせかぁ』と木村が唸った。
「嫌がらせ?」
『期末に足場を外したから工事が遅れたんだ。早くやれと催促したもんだから、わざわざ早朝に足場を掛けたんだろう』
「そもそも期末に無理をするからいけないんですよ」
『売上げは会社の命令だろうが。……仕方がないわ。怒られに行ってくる』
木村はぼやいて電話を切った。
最初のコメントを投稿しよう!