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向井 時弥は隣で眉を寄せる友人、八尾 杜斗に薄笑いを返した。
目の前には、山と貼られたお札の中心に穴の空いた岩がある。札に願いを書き、表と裏から穴を通って悪縁を切り良縁を結んで願いを書いた札を貼り付けるというものだ。
ここは安井金比羅宮──京都にある「縁切り神社」と呼ばれる神社だ。
しかし縁切り神社というのは、あまり聞き馴染みがなく。縁切り寺の方がしっくりくるなと思いふと、寺と神社の違いってなんだっけなと考える。
「仏尊像を安置し仏教の教えを説く僧侶の住むところがお寺で、日本の神様の御魂を祀るところが神社」と言われても、いまひとつピンとこない。
乱暴に言えば、仏教と神道で違うみたいなものだろうかと時弥は思い至る。
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