待ち人来たりて花は咲く

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「……苦乃離(このはな)姉様がそうおっしゃるなら。」 柔らかい口調で、二番めに現れた女─呼ノ破失(このはな)を、最初に出てきた女─苦乃離(このはな)が制する。 若干イントネーションは違うがそれぞれが同じ名前を呼ぶ、同じ着物を着た2人の女。異質な存在が増えた事で、男は更に動揺した。 「驚かせたかしら?ごめんなさいね。」 謝りの言葉とは裏腹に、狼狽える男に楽しそうな笑顔をしてみせる苦乃離(このはな)。 そんな姉へと深く一礼して、呼ノ破失(このはな)は奥へ脇へと数歩下がった。 すると、その奥から更に一つ、別の影が(あら)わになる。 二度ある事は三度ある─よくあることわざだが、今この男にそんな予測を出来るわけが無い。 それは、追い討ちをかける驚異だった。 「ふふ。やっと待ち人現る、ですね姉様方!火熨華(このはな)は嬉しいです!」 三番目に現れたのは、先の2人よりも幼さの残る少女。着物こそ同じだったが、髪も肩より少し長い程度で、背も少し小さかった。 彼女は男にも姉と呼ぶ2人にも、とびきりの笑顔を振りまいて無邪気にはしゃぐ。 「火熨華(このはな)は呑気だな。千万桜が燃やされそうになったっていうのに…。」     
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